コネよりも強いメールの送り方

Posted on March 09, 2020  -  1 min read

少し前に、オンラインサロンのプラットフォーム的なサービスをやろうとしていました。「日本で流行っててアメリカでないからイケるのでは!」と、安易な考えから着想したのですが失敗しました。失敗の理由は話すまでもないのですが、当時サロンのオーナーになるインフルエンサーを口説くために編み出していた方法は思ったより効果がありました。

2 ヶ月以上かかったのですが、工夫しただけ返信率も上がり、実際に一人の著名なインフルエンサーに協力してもらうに至りました。当時残していたブログの一部を抜粋して、ここで紹介していければと考えています。

私が当時探していたインフルエンサーは、コミュニティを育てるメンターでした。かつ、そのメンターは影響力があれば誰でも良いというわけではなく、私たち開発者がメンタリングを受けてみたいと思えるような人である必要がありました。つまり、その人は世界中のユーザーから愛されるプロダクトを作ることに成功している人でなければなりませんでした。私は、そのアタックリストを、Indie Hackers の Podcastに出演している人たちに絞ることにしました。

闇雲に「メンターになってください!」とメールしても返事はありません。素性も知れないだけでなく、英語も下手くそな何者でもない日本人なんか信頼してもらえるはずがないでしょう。4 年前、Youtube で現地の起業家 100 人にインタビュー取材していた時もありましたが、その時はとにかく数送っていました。1 日 100 以上は軽く送っていたと思います。しかし、今回は限られた対象に確実に当てていかなければなりません。とはいえ、送る以外にどうしようもない為、試し試しにやり始めたものの、既読スルーばかり。何とか成功確度を上げるには、営業を学ぶ’必要がありました。

そこで、私が選んだ教材は、Close のブログでした。Close は、営業専用の CRM を提供しているスタートアップで、創業者の Steli Efti 氏も Podcast 出演者の一人。彼もまた、母国であるドイツを離れ、幾度となく失敗を繰り返し、1 日レッドブル 8 本飲むような生活を送りながら、スタートアップの表舞台へのし上がった男です。

彼と、彼のブログから学んだことは沢山あるのですが、メールを送るにあたって、意識するようになったのは、この 2 点でした。

  1. 理想の相手に売る
  2. メリットだけでなく、デメリットも伝える

まず、相手を徹底的に調べ上げて、提案するプロダクトが気に入ってもらえるかどうか考えます。相手がどこに住んでいて、何歳で、普段どんなことを呟いているかなどです。彼の人生のどんな場面で、プロダクトが受け入れてもらえるのかを具体的に想像しながらメールを書くようにしていました。

次に、デメリットです。デメリットを伝えると、一見売れにくくなるようにも思いますが、実は相手に安心感を与えることにも繋がります。今回のケースでいうところ、メンターとしてお金を稼ぐことはできるけど、月に最低でも 6 時間コミットしてもらうし、あんなことやこんなこともやってもらうことになるよ、ということを素直に伝えました。メリットだけ伝えられると「こんなうまい話あるか?」とかえって不信感を与えてしまいます。

更に小技にはなりますが、Streak という Gmail アプリを使ってメールの既読を追跡し、資料の送付に DocSend を使うことで、相手がメールを開いた瞬間に自分へ通知を飛ばすようにしていました。そのタイミングで、Twitter からフォローアップを行ないます。

Tweet

上記のような具合にです。1 通のメールを書くのに数時間、半日とかけながら送り始めると、徐々に返信をもらえるようになってきました。それでも、やはり「やると!」という風にはいきませんでした。そんな悩んでた日々の朝、珍しく Twitter からリプが入っていることに気づきました。

Tweet

そのまま、受信 BOX を確認。

Mail

ようやく、一人から快諾を受けることに成功しました。ちなみに、David Smooke 氏は月間 800 万 PV、デイリーで 20 万人のアクセスを誇るテックメディア「Hacker Noon」の創業者です。エンジニアであれば、誰しも一度は訪れたことのあるサイトかと思います。彼は奥さんと二人でそれを立ち上げ、Hacker Noon 以外にも複数のメディアを運用し、従業員は全てパートタイムで雇うという先進的なワークスタイルを取り入れていました。

また、コールドメールを送り続けていた際に、メールアドレスをどのように調べたかと尋ねられたこともあるのですが、これは TO に[ファーストネーム]@[会社のドメイン]、BCC に考え得るアドレスの案を全部入れていたので、何かしらのアドレスは当たり、送信できていました。

最後に、営業を根気強く続けていく為にもっとも大事なこと、それは、「Don’t sell snake oil.」です。心から信じているものでなければ、例え売れることはあったとしても、売れ続けることは決してありません。プロダクト、自分自身にせよ、納得してそれを相手に説得できるほどに言語化しておく準備というのは心がけておくとよいでしょう。